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1)概要
・北側をアルプス山脈に守られ、残り三方が地中海に囲まれている。
・温暖な気候で、日照にも恵まれている。
・ブドウの生育期は、ほとんど雨が降らない。
・イタリアは地形、気候、土壌、ブドウ品種などが地域によって異なり、多様性に富んでいる。
・全20州でワインが造られている。
・ブドウ栽培面積:658,348ha
・ワイン生産量:54,005,131hL
図 27
2)イタリアワインの歴史
・紀元前2000年以上前から原始的なワイン造りは行われていた。
・紀元前8世紀ギリシャ人がイタリア南部に今日でも栽培されているブドウ品種を持ち込むと同時に、栽培方法、醸造技術を持ち込んだ。
・紀元前8世紀から1世紀にわたってエトルリア人によってギリシャ人とは異なった本格的な栽培、醸造技術をもたらした。
・古代ローマ時代ワイン文化が発展し、ワインの通商も盛んになり、アンフォラに詰めて船で地中海全域に運ばれた。
・中世、修道院を中心に高品質のワインが造られるようになった。
・中世末期、ワインが庶民レベルまで普及し、ワインを飲む習慣が根付いた。
・1716年トスカーナ大公コジモ3世が、原産地呼称制度の最初の例となる、生産地の線引きをキアンティ(Chianti)、ポミーノ(Pomino)、カルミニャーノ(Carmignano)、ヴァルダルノ・ディ・ソプラ(Val d’Arno di Sopra)で行った。
・1863年フランスのフィロキセラ禍の影響でイタリアワインに殺到し、イタリアワイン界は好景気に沸いた。
・20世紀フィロキセラがイタリアの畑を襲い壊滅的な被害を受け荒廃した。
・1970年代末、世界に通用する高品質なワインを生産しようという動きが出てくる(イタリアワイン・ルネッサンス)。
・1980年代、スーパータスカン(Super Tuscan)が世界の注目を集める。
・スーパータスカン:イタリア、トスカーナ地方で生産される高品質赤ワインのこと。伝統的なイタリアワイン法(D.O.C.やD.O.C.G.)の規則に従わず、独自のブレンドや製法を用いるために生まれたカテゴリーのこと。
・現在はイタリアワイン・ルネッサンスの反動から、固有品種、伝統的栽培、醸造の見直しが盛んに行われている。
3)主要ブドウ品種
(1)白ブドウ
1 グレーラ(Glera)
2 ピノ・グリージョ(Pinot Grigio)
3 トレッピアーノ・トスカーノ(Trebbiano Toscano)
4 シャルドネ(Chardonnay)
5 トレッピアーノ・ロマニューロ(Trebbiano Romagnolo)
(2)黒ブドウ
1 サンジョヴェーゼ(Sangiovese)
2 モンテプルチアーノ(Montepulciano)
3 メルロ(Merlot)
4 バルベーラ(Barbera)
5 ネロ・ダヴォラ(Nero d’Avola)
4)ワイン法と品質分類
(1)ワイン法の歴史
・1716年トスカーナ大公コジモ3世が自国のワインを保護するためにキアンティ(Chianti)、ポミーノ(Pomino)、カルミニャーノ(Carmignano)、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラ(Val d’Arno di Sopra)のワイン産地を線引きし、この範囲外でのこれらのワイン名の使用を禁止した。
・19世紀、醸造業者たちによってキアンティ・ワインの産地が定められた。
・1920年代、バローロ(Barolo)などの個々の原産地呼称制度のへの動きはあったが、国全体としての統一的な立法はされなかった。
・1963年最初の原産地呼称法として「ワイン用ブドウ果汁とワインの原産地呼称保護のための規則」を交付した。
・この法律で上級なワインに評される「統制原産地呼称 D.O.C.(Denominazione di Origine Controllata)」、さらに制約が厳しいワインに与えられる「統制保証原産地呼称 D.O.C.G.(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)」に格付けされるようになった。
(2)品質分類
・2008年のEU新ワイン規則に合わせて格付けが変更された。
・イタリアワインに関しては、従来通りD.O.C.G.等の表示が認められている。
A.旧ワイン法(2008年ヴィンテージまで)
1 D.O.C.G.(Denominazione di Origine Controllata e Garantita):統制保証原産地呼称
2 D.O.C.(Denominazione di Origine Controllata):統制原産地呼称
3 I.G.T.(Indicazione Geografica Tipica):地理的表示
4 Vino da Tavola:テーブルワイン
B.新ワイン法(2009年ヴィンテージから)
1 D.O.P.(Vino a Denominazione di Origine Protetta):保護原産地呼称ワイン
2 I.G.P.(Vino a Indicazione Geografica Protetta):保護地理表示ワイン
3 Vino:地理表示のないもの
・I.G.P.はワインの85%以上がその土地で造られたものという定義がある。
(3)個別の規定
・ヴィーノ・フリッツァンテ(Vino Frizzante):1〜2.5気圧の弱発泡性ワイン
・ヴィーノ・リクオローゾ(Vino Liquoroso):リキュールタイプのワイン
・ヴィーノ・ノヴェッロ(Vino Novello):
①D.O.C.G. D.O.C. I.G.T.にのみ認められている。
②醸造期間は醸造開始後10日以内でなければならない。
③炭酸ガス浸漬法で造られたワインが40%以上含まなければならない。
④アルコール度11%以上、残存糖分は10g/Lを超えてはならない。
⑤ブドウを収穫した年の12月31日までに瓶詰めしなければならない。
⑥瓶のラベルにブドウの収穫年を記載しなければならない。
⑦10月30日零時1分より前に消費に供してはならない。
(4)特殊ワイン
・ヴェルムート・ディ・トリノ(Vermut di Torino):ピエモンテ州で造られる白ワインに薬草を混合して造る混成ワイン。
・グラッパ(Grappa):ブドウの搾りかす(ヴィナッチャ)を固形蒸留した蒸留酒。フランスではMarc
・ヴィン・サント(Vin Santo):タリア中部(トスカーナ、ウンブリア州)を中心に造られる陰干しワイン。