(1)概要

・地中海で4番目に大きな島で、すぐ南にイタリアのサルデーニャ島がある。

・ナポレオン・ボナパルトの生誕地。

・フランス語でコルス、イタリア語でコルシカと発音される。

・1768年にフランス領になったがイタリアの都市国家に支配されていた時代が長いためイタリアの影響が強く残る。

・気候:地中海性気候で夏は暑く乾燥し、冬は穏やか。山岳地帯を中心に雪が降ることがある。

   山の影響で降雨量がある。

・土壌:島の西側3分の2が花崗岩、東側はシスト。石灰質土壌がみられる。

コルシカ島地図

(2)歴史

・紀元前600年頃、この島にたどり着いたギリシャ人によってブドウ栽培、ワイン醸造が広められた。

・その後ローマ人によって発展し、中世はキリスト教会によってブドウ畑が広がった。

・19世紀末のフィロキセラによって壊滅的な被害を被る。

・1960年代に安価な大量生産ワインとして復興する。

・次第に北アフリカの安価なワインに取って代わられ品質向上に舵を切る。

(3)主要ブドウ品種

A.白ブドウ

・ヴェルメンティーノ(Vermentino)=マルヴォワジ・ド・コルス(Malvoisie de Corse)=ロール(Rolle)

B.黒ブドウ

・シャカレッロ(Sciacarello)、ニエルッチョ(Nielluccio)イタリアのサンジョヴェーゼと遺伝レベルで同一クローン、バルバロッサ(Barbarossa)、グルナッシュ(Grenache)

(4)A.O.C.

表 52

A.O.C.ワイン備考
パトリモニオ(Patrimonio)赤、ロゼ、白・1968年コルシカで最初のA.O.C.
・赤:ニエルッチョ(Nielluccio)90%以上
・ロゼ:ニエルッチョ(Nielluccio)75%以上
・白:ヴェルメンティーノ(Vermentino)100%
アジャクシオ(Ajaccio)赤、ロゼ、白・ナポレオン・ボナパルトの生誕地
・1971年「コトー・ダジャクシオ」の名称でA.O.C.認定され、1984年に名称変更
・赤、ロゼ:バルバロッサ(Barbarossa)、ニエルッチョ(Nielluccio)、シャカレッロ(Sciacarello)、ヴェルメンティーノ(Vermentino)を主要品種とし、シャカレッロ(Sciacarello)を40%以上使用しなければならない。
白:ヴェルメンティーノ(Vermentino)80%以上
ヴァン・ド・コルス(Vin de Corse)またはコルス(Corse)赤、ロゼ、白・コルシカを包括する地方名A.O.C.
・島の東部沿岸のワインに用いられるA.O.C.
・赤、ロゼ:グルナッシュ(Grenache)、ニエルッチョ(Nielluccio)、シャカレッロ(Sciacarello)を合計50%使用しかつ、ニエルッチョ(Nielluccio)とシャカレッロ(Sciacarello)が全体の3分の1以上でなければならない。
・白:ヴェルメンティーノ(Vermentino)75%以上
ヴァン・ド・コルス・カルヴィ(Vin de Corse Calvi)またはコルス・カルヴィ(Corse Calvi)赤、ロゼ、白島の北西沿岸部
ヴァン・ド・コルス・フィガリ(Vin de Corse Figari)またはコルス・フィガリ(Corse Figari)赤、ロゼ、白島の最南端
ヴァン・ド・コルス・サルテーヌ(Vin de Corse Sartène)またはコルス・サルテーヌ(Corse Sartène)赤、ロゼ、白島の南西部沿岸
ヴァン・ド・コルス・ポルト・ヴェッキオ(Vin de Corse Porto-Vecchio)またはコルス・ポルト・ヴェッキオ(Corse Porto-Vecchio)赤、ロゼ、白島の南東部
ヴァン・ド・コルス・コトー・デュ・カップ・コルス(Vin de Corse Coteaux du Cap Corse)またはコルス・コトー・デュ・カップ・コルス(Coteaux du Cap Corse)赤、ロゼ、白島の北端
ミュスカ・デュ・カップ・コルス(Muscat du Cap Corse)白(甘口)・V.D.N.(天然甘口ワイン)のA.O.C.
・ヴァン・ド・コルス・コトー・デュ・カップ・コルス(Vin de Corse Coteaux du Cap Corse)とパトリモニオ(Patrimonio)にまたがるA.O.C.
・白:ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン100%
・果汁糖度は最低252g/L
・収穫年の12月31日までにミュタージュ(アルコール添加)をしなければならない。