歴史

シャトー・ムートン・ロートシルドの歴史は、1853年にナタニエル・ド・ロスチャイルド男爵がシャトー・ブラーヌ=ムートンという名で知られていたワイナリーを競売で落札し、シャトー・ムートン・ロートシルドと改名したことから始まります。

1855年のボルドーワインの格付けでは、シャトー・ムートン・ロートシルドは第2級に位置づけられました。その時のモットーは「Premier ne puis, second ne daigne, Mouton suis.」で、「第一級にはなれず、第二級を名乗ることもなく、私はムートンである」という意味です。しかし、1973年にシャトー・ムートン・ロートシルドは、長年のロビー活動の結果、第1級に昇格しました。これは1855年の格付けが変更された唯一の例であり、その後のモットーは「Premier je suis, Second je fus, Mouton ne change.」と変更され、「今は第一級、かつては第二級、しかしムートンは変わらない」という意味を持つようになりました。

1922年には、ナタニエルの曽孫であり、シャトー・ムートンの名声を高めた人物として知られるフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵がドメーヌを相続しました。彼は2年後の1924年に、樽に詰められた状態でワインがネゴシアン(ワイン商)へ出荷される事が一般的であった時代に、シャトー内でボトル詰めをする元詰め方式を先駆けて採用しました。

また、フィリップ男爵は、年ごとのラベルのデザインを、その時々の著名な芸術家に依頼するという案を思い付きました。1924年にジャン・カルリュにラベル制作を依頼するものの、時期尚早と判断した為か、翌年からは継続されませんでした。しかし、1945年に連合軍の勝利とフィリップ男爵自らの生還を祝し、芸術家フィリップ・ジュリアンにラベル制作を依頼したことから、シャトー・ムートン・ロートシルドのラベルは世界の偉大な画家や彫刻家によりデザインされ、ムートンのイメージを重要で意義深いものにしています。

2021年日本人芸術家である塩田千春さんがラベルをデザインしました。彼女の先品「Universe of Mouton」は、人間の脆弱さと自然の豊かさを描いています。

画像引用:エノテカ

https://www.enoteca.co.jp/article/archives/20231206083533639/

場所

シャトー・ムートン・ロートシルドは、ボルドーから北西に約50km、メドック地区のポーイヤック村にあります。この地域は、その豊かな土壌と適度な気候により、高品質なブドウを育てるのに最適な環境を提供しています。

ワインの評価

シャトー・ムートン・ロートシルドのワインは、その豪華さから5大シャトーの中でも特に評価が高いワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高く、飲み頃になるまでに時間がかかる長期熟成型のワインで、エレガントなブーケと豊かなボディを持ち、シルクのようなきめ細かさ、アーモンドとすみれの香りを秘めたエレガントな芳香、そして酸味とコクの結びついたバランスの良さは、理想の赤ワインが備えている全ての条件をくまなく発揮しています。