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- 1 3)ボルドー地方(Bordeaux)
- 1.1 (1)概要
- 1.2 (2)歴史
- 1.3 (3)主要ブドウ品種
- 1.4 (4)ボルドー地方の格付け
- 1.5 (5)メドック(Médoc)地区
- 1.6 (6)メドック格付け
- 1.7 (7)グラーブ(Graves)地区
- 1.8 (8)グラーブ格付け
- 1.9 (9)ソーテルヌ バルサック(Sauternes Barsac)地区
- 1.10 (10)ソーテルヌ バルサック格付け
- 1.11 (11)コート地区(Côtes)
- 1.12 (12)フロサンデ地区(Fronsadais)
- 1.13 (13)サン・テミリオン地区(Saint-Emilion)、サン・テミリオン衛星地区(Saint-Émilion satellites)
- 1.14 (14)サン・テミリオン地区格付け
- 1.15 (15)ポムロール地区(Pomerol)
- 1.16 (16)アントル・ドゥ・メール地区(Entre-Deux-Mers)
3)ボルドー地方(Bordeaux)
(1)概要
・栽培面積:約11万ha(フランス1位の面積で、ほとんどがA.O.C.ワイン)
・気候:海洋性気候
北海道と同じ緯度ではあるが、メキシコ湾流の影響で比較的穏やか
大西洋とブドウ畑の間にはランドの森が広がり、海風からブドウ畑を守っている。
降雨量が多く灰色カビ病になりやすい→貴腐ワインに適した環境とも言える。
・特徴:ワインは複数の品種をブレンド(アッサンブラージュ)して造られる。
図 7
(2)歴史
・古代ローマ時代よりガロンヌ河やジロンヌ河が大西洋と繋がっていたため、海運業が盛んだった。
・古代ローマ人に占領された1世紀中頃にブドウ栽培が持ち込まれた。
・1154年にアキテーヌ女公エリアノールがイングランド王となるヘンリー2世と結婚したため、ボルドーを含めアキテーヌ地方がイギリス領となる。
・イギリスとの交易によりボルドー地方は栄える。
・イギリスとの百年戦争(1337年〜1453年)で、フランス王はアキテーヌ公爵領を奪い返した。
・1475年フランス王はイングランドとの交易を許したが、繁栄は取り戻せなかった。
・17世紀オランダとの交易が発展し再び繁栄する。
・この頃、オランダ人の技術によりメドック(Medoc)地区が開拓される。
・1789年フランス革命により貴族が所有していたシャトー(Château)が国庫に没収され、その後、ボルドーのブルジョワジーが買い取る。
・1855年パリ万国博覧会が開催され、ボルドーワインの格付けが行われた。この格付けを契機にワインは嗜好品としての価値を帯びるようになった。
・1999年サン・テミリオン(Saint-Émilion)、2007年ボルドー市の市街区域がユネスコ世界遺産に登録される。
・2016年ワインのテーマパーク「シテ・デュ・ヴァン(Cité du Vin)」がオープンした。
(3)主要ブドウ品種
A.白ブドウ
・セミヨン(Sémillon)、ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)、ソーヴィニヨン・グリ(Sauvignon Gris)、ミュスカデル(Muscadelle)
B.黒ブドウ
・カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)、カベルネ・フラン(Cabernet Franc)、メルロ(Merlot)、マルベック(Malbec)=コット(Côt)、プティ・ヴェルド(Petit Verdot)、カルメネール(Carmenère)
(4)ボルドー地方の格付け
A.A.O.C. の階層構造
・ボルドー地方はブルゴーニュ地方と異なり畑レベルのA.O.C.はなく、村単位が最小区分になっている。
・メドック(Médoc)、グラーヴ(Graves)、ソーテルヌ-バルサック(Sauternes-Barsac)、サン・テミリオン(Saint-Émilion)の4地区は、独自にシャトー(Château)を格付けし、A.O.C.名とともにラベルに表示している。
・メドック(Médoc)、グラーヴ(Graves)、ソーテルヌ-バルサック(Sauternes-Barsac)、サン・テミリオン(Saint-Émilion)の4地区は、独自にシャトー(Château)を格付けし、A.O.C.名とともにラベルに表示している。
図 8
B.レ・アペラシオン・ジェネナル(Les appellations générales)のA.O.C.
・ボルドー全域でそれぞれの規定を満たしていれば名乗ることができるA.O.C.
表 9
A.O.C. | ワイン | 条件 |
ボルドー (Bordeaux) | 赤、白、ロゼ | ・生産地域:ボルドーAOCは、フランス南西部、アキテーヌ地域圏ジロンド県で生産されるワインのうち、より品質基準の厳しい地区名(メドック、グラーヴなど)や、村名(ポーイヤック、ソーテルヌなど)の基準は満たさないが、ボルドーワインとしての基準は満たしているものに与えられる。 ・品質基準:使用する葡萄品種、栽培方法、醸造方法などがボルドーA.O.C.の基準に満たす必要がある。 ・カテゴリー外ワイン:特定の地区や村名のAOCの基準を満たさないワインでも、ボルドーワインとしての基準を満たしていれば、ボルドーAOCとして販売することができる。例えば、メドック地区で造られる白ワインや、アントル・ドゥー・メール地区の赤ワイン、ソーテルヌ村の辛口白ワインなども、ボルドーAOCになる。 |
ボルドー・シュペリュール (Bordeaux Supérieur) | 赤、甘口白 | ・A.O.C.ボルドーよりヘクタールあたりの収穫量が制限されるなど厳格な栽培条件下で造られる。 ・辛口白ワインはA.O.C.ボルドーとなる。 |
ボルドー・クラレ (A.O.C. Bordeaux Clairet) ボルドー・クレレ (A.O.C. Bordeaux Clairet) | 赤、ロゼ | ・赤ワインとロゼワインの中間色 ・マセラシオン(果皮と果汁の接触人感)を24〜48時間行うことにより、果皮から色素が抽出される。 ・中性に流行したボルドーワインのスタイル |
クレマン・ド・ボルドー (Crémant de Bordeaux) | ロゼ(発泡)、白(発泡) | ・生産地域:クレマン・ド・ボルドーは、フランスのボルドー地域で生産されるスパークリングワインに対して与えられる。 ・製法:「クレマン」とは、フランス国内で特定の地域で生産される高品質なスパークリングワインを指す言葉で、シャンパンと同じトラディショナル製法の瓶内二次発酵による発泡性ワイン。 ・ブドウ品種:白の品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、マルベック(フランスではコットと呼ばれる)、プティ・ヴェルド、カルムネール、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデが主要品種として認められています。補助品種のコロンバール、メルロ・ブラン、ユニ・ブランを最大30%まで用いることがでる。 ・熟成期間:瓶内熟成期間は最低9ヶ月 |
C.クリュ・ブルジョワ(Crus Bourgeois)
・1855年のメドック地区格付けに漏れたメドック地区のシャトーに対して1932年発表された格付け。
・1932年当時は非公式の格付け
・2000年農務省の省令で規定が認められ2003年の3階級が公式に発表された。
・最上位:クリュ・ブルジョワ・エクセプシオネル(Cru Bourgeois Exceptionnel)
・上位:クリュ・ブルジョワ・シュペリュール(Cru Bourgeois Supérieur)
・一般:クリュ・ブルジョワ(Cru Bourgeois)
・2003年の格付けに異論が出て2007年この格付けは無効となる。
・現在では、格付けではなくひとつの認定として「クリュ・ブルジョワ」が名称として復活した。
(5)メドック(Médoc)地区
・ジロンド(Gironde)河左岸の南北に伸びる地区
・北部(ジロンド河下流)をメドック(Médoc)、南部(ジロンド河上流)をオーメドック(Haut-Médoc)という。
・気候:大西洋に近く温暖
・メドック地区の格付けがすべてオーメドックに集中していることから、メドックよりオーメドックの方が上質なワインを生産している。
・土壌:水はけの良い砂礫質(されきしつ)であるためカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適している。
ジロンド河下流(北部)に行くに従い粘土質土壌になる。
・生産可能ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、マルベック、カルメネール
図 9
表 10
地区名A.O.C. | 村名A.O.C. | 村名 | ワイン | 特徴 | 備考 |
メドック | − | 赤 | − | ||
オーメドック | サン・テステフ(Saint-Estèphe) | − | 赤 | 砂礫の下に粘土石灰質の土壌 骨太な赤ワイン ジロンド河で最も下流(北側) | − |
ポイヤック(Pauillac) | − | 赤 | 砂礫質土壌 カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高い | − | |
サン・ジュリアン(Saint-Julien) | − | 赤 | 粘土質と粘土石灰質の土壌 骨太なワインや、柔和なワイン | − | |
リストラック・メドック(Listrac-Médoc) | − | 赤 | カベルネ・ソーヴィニヨンが完熟できな年があるため、メルロの比率が高い | − | |
ムーリ・ザン・メドック(Moulis-en-Médoc) | − | 赤 | カベルネ・ソーヴィニヨンが完熟できな年があるため、メルロの比率が高い | − | |
マルゴー(Margaux) | アルサック(Arsac) | 赤 | − | 村名A.O.C.は無いが、A.O.C.マルゴーを名乗ることができる。 | |
カントナック(Cantenac) | 赤 | − | |||
ラバルド(Labarde) | 赤 | − | |||
スッサン(Soussans) | 赤 | − | |||
マルゴー(Margaux) | 赤 | カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの調和の取れたエレガントなワイン 栽培面積が最大 ジロンド河最も上流(南側) | − | ||
− | リュドン(Ludon) | 赤 | − | 村名A.O.C.は無いが、A.O.C.オーメドックを名乗ることができる。 | |
− | マコー(Macau) | 赤 | − | ||
− | サン・ローラン(Saint-Laurent) | 赤 | − |
(6)メドック格付け
・1855年のパリ万国博覧会のときナポレオン3世の発案によりボルドー市の商工会議所によって制定された。
・ジロンド県の格付けであるが、ボルドーの商工会議所が作成したためメドック地区のシャトーに限定された。
・1855年の作成時は57のシャトーが格付けされたが、その後、相続による分割や吸収などにより現在は61シャトーが格付けされている。
・シャトー・オー・ブリオンがメドック地区以外で唯一格付けされた。
・一般的にクリュ(Cru)は、畑・区画を指すが、ボルドー地方では生産者と紐付けられ、シャトーと同義語となっている。
A.1級プルミエ・クリュ(Premiers Crus)5シャトー
表 11
A.O.C. | 村名 | 名称 | 備考 |
ポイヤック (Pauillac) | ポイヤック (Pauillac) | ラフィット・ロートシルト (Château Lafite-Rothschild) | ロスチャイルドは英語読み ロートシルトはドイツ語読み ロチルドはフランス語読み |
ムートン・ロートシルト (Mouton Rothschild) | 1973年に2級から1級に昇格 最初で最後と言われている | ||
ラトゥール (Château Latour) | |||
マルゴー (Margaux) | マルゴー (Margaux) | マルゴー (Château Margaux) | |
グラーブ地区(Graves) ペサック(Pessac) | ペサック・レオニャン(Pessac-Léognan) | オー・ブリオン (Château Haut-Brion) |
B.2級ドゥジェム・クリュ(Deuxièmes Crus)14シャトー
表 12
A.O.C. | 村名 | 名称 | 備考 |
サン・テステフ (Saint-Estèphe) | サン・テステフ (Saint-Estèphe) | コス・デストゥルネル (Château Cos-d’Estournel) | 1級に次ぐスーパーセカンドと言われている |
モンローズ (Château Montrose) | |||
ポイヤック (Pauillac) | ポイヤック (Pauillac) | ピション・ロングヴィル・バロン (Château Pichon-Longueville-Baron) | |
ピション・ロングヴィル・コンテス・ラランド (Château Pichon-Longueville-Comtesse-de-Lalande) | |||
サン・ジュリアン (Saint-Julien) | サン・ジュリアン・ベイシュヴェル (Saint-Julien-Beychevelle) | デュクリュ・ボーカイユ (Château Ducru-Beaucaillou) | サン・ジュリアン・ベイシュヴェルは、ジロンド河の左岸にあり、ポイヤックとマルゴーに挟まれている。 |
グリュオ・ラローズ (Château Gruaud-Larose) | |||
レオヴィル・バルトン (Château Léoville-Barton) | |||
レオヴィル・ラス・カーズ (Château Léoville-Las-Cases) | 1級と比べても遜色ないとされている。 | ||
レオヴィル・ポワフェレ (Château Léoville-Poyferré) | |||
マルゴー (Margaux) | マルゴー (Margaux) | ラスコンブ (Château Lascombes) | |
デュルフォール・ヴィヴァンス (Château Durfort-Vivens) | |||
ローザン・ガシー (Château Rauzan-Gassies) | |||
ローザン・セグラ (Château Rauzan-Ségla) | 1960年代から1980年代までは、2級とは言えない品質と評価されていたが、1994年にファッションブランドのシャネルに買収されてから抜本的な改革により品質が向上している。 | ||
カントナック (Cantenac) | ブラーヌ・カントナック (Château Brane-Cantenac) |
C.3級トロワジェム・クリュ(Troisieèmes Grands Crus)14シャトー
表 13
A.O.C. | 村名 | 名称 | 備考 |
サン・テステフ (Saint-Estèphe) | サン・テステフ (Saint-Estèphe) | カロン・セギュール (Château Calon-Ségur) | |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) | サン・ジュリアン (Saint-Julien) | ラグランジュ (Château Lagrange) | 1900年代の世界恐慌や戦争で新筆が低下、1983年サントリーが所有し、再評価されている。 |
ランゴア・バルトン (Château Langoa-Barton) | |||
マルゴー (Margaux) | マルゴー (Margaux) | フェリエール (Château Ferrière) | |
マレスコ・サン・テグジュペリ (Château Malescot-Saint-Exupéry) | |||
マルキ・ダレーム・ベッカー (Château Marquis-d’Alesme Becker) | |||
カントナック (Cantenac) | ボイド・カントナック (Château Boyd-Cantenac) | ||
カントナック・ブラウン (Château Cantenac-Brown) | |||
デスミライユ (Château Desmirail) | |||
ディサン (Château d’Issan) | |||
キルヴァン (Château Kirwan) | |||
パルメール (Château Palmer) | |||
ラバルド (Labarde) | ジスクール (Château Giscours) | ||
オーメドック (Haut-Médoc) | リュドン (Ludon) | ラ・ラギュンヌ (Château La Lagune) |
D.4級カトリエム・クリュ(Quatriemes Grand Cru)10シャトー
表 14
A.O.C. | 村名 | 名称 | 備考 |
サン・テステフ (Saint-Estèphe) | サン・テステフ (Saint-Estèphe) | ラフォン・ロッシェ (Château Lafon-Rochet) | |
ポイヤック (Pauillac) | ポイヤック (Pauillac) | デュアール・ミロン (Château Duhart-Milon) | |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) | サン・ジュリアン (Saint-Julien) | ベイシュヴェル (Château Beychevelle) | |
ブラネール・デュクリュ (Château Branaire-Ducru) | |||
サン・ピエール (Château Saint-Pierre) | 17ha | ||
タルボ (Château Talbot) | |||
マルゴー (Margaux) | マルゴー (Margaux) | マルキ・ド・テルム (Château Marquis-de-Terme) | |
カントナック (Cantenac) | プージェ (Château Pouget) | ||
プリウレ・リシーヌ (Château Prieuré-Lichine) | |||
オーメドック (Haut-Médoc) | サン・ローラン (Saint-Laurent) | ラ・トゥール・カルネ (Château La Tour-Carnet) |
E.5級サンキエム・クリュ(Cinquiemes Crus)18シャトー
表 15
A.O.C. | 村名 | 名称 | 備考 |
サン・テステフ (Saint-Estèphe) | サン・テステフ (Saint-Estèphe) | コス・ラボリ (Château Cos-Labory) | |
ポイヤック (Pauillac) | ポイヤック (Pauillac) | バタイィ (Château Batailley) | |
オー・バタイィ (Château Haut-Batailley) | |||
クレール・ミロン (Château Clerc-Milon) | |||
クロワザ・バージュ (Château Croizet-Bages) | |||
ランシュ・バージュ (Château Lynch-Bages) | |||
ランシュ・ムーサ (Château Lynch-Moussas) | |||
オー・バージュ・リベラル (Château Haut-Bages-Libéral) | |||
ダルマイヤック (Château d’Armailhac) | |||
グラン・ピュイ・デュカス (Château Grand-Puy-Ducasse) | |||
グラン・ピュイ・ラコスト (Château Grand-Puy-Lacoste) | |||
ペデスクロー (Château Pédesclaux) | |||
ポンテ・カネ (Château Pontet-Canet) | |||
マルゴー (Margaux) | アルサック (Arsac) | デュ・テルトル (Château du Tertre) | |
ラバルド (Labarde) | ドーザック (Château Dauzac) | ||
オーメドック (Haut-Médoc) | サン・ローラン (Saint-Laurent) | カマンサック (Château Camensac) | |
ベルグラーヴ (Château Belgrave) | |||
マコー (Macau) | カントメルル (Château Cantemerle) |
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詳細はエノテカの「おどるわいん」で、詳しくまとめてあります。
(7)グラーブ(Graves)地区
・Gravesとはフランス語で「砂利」を意味する。
・ボルドー市の南側、ガロンヌ河の左岸に位置する。
・ペサック・レオニャン(Pessac-Léognan)地区が特に優良地であったため、1987年A.O.C.グラーブから独立し村名A.O.Cペサック・レオニャンが認められた(ペサック・レオニャンという村は存在しない)。
・A.O.C.グラーブ・シュベリュール(Graves Spérieures)は、貴腐または遅摘みのより熟度の上がったブドウから造られる甘口白ワインのA.O.C.
・グラーブ・シュベリュールの残糖34g/L以上
・気候:大西洋に近く温暖
・土壌:砂利質
・生産可能ブドウ品種
白ブドウ:ソーヴィニヨン、セミヨン
黒ブドウ:カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー
図 10
表 16
地区名A.O.C. | 村名A.O.C. | 村名 | ワイン | 特徴 | 備考 |
グラーブ (Graves) | ペサック・レオニャン(Pessac-Léognan) | ペサック (Pessac) | 赤、白 | − | ・村名A.O.C.は無い これらの村の他4つの村(計10村)が、A.O.C.ペサック・レオニャンを名乗ることができる。 |
レオニャン (Léognan) | 赤、白 | − | |||
メリニャック (Mérignac) | 赤、白 | − | |||
タランス (Talence) | 赤、白 | − | |||
ヴィルナーヴ・ドルノン (Villenave-d’Ornon) | 赤、白 | ||||
カドジャック (Cadaujac) | 赤、白 | − | |||
グラーブ・シュベリュール (Graves Spérieures) | 甘口白 | 貴腐または遅摘みのより熟度の上がったブドウから造られる甘口白ワイン |
(8)グラーブ格付け
・1953年に発表された。
・16シャトーが格付けされている。
・格付けシャトーのすべてが、ペサック・レオニャンに属している。
・格付けシャトーの階級はない。
・シャトー・オー・ブリオン(Château Haut-Brion)はメドック地区とグラーブ地区両方に選出されている。
表 17
村名 | 名称 | タイプ | 備考 |
レオニャン (Léognan) | ド・フューザル (Château de Fieuzal) | 赤 | |
オー・バイィ (Château Haut-Bailly) | 赤 | ||
カルボニュー (Château Carbonnieux) | 赤、白 | ||
マラルティック・ラグラヴィエール (Château Malartic-Lagravière) | 赤、白 | ||
オリヴィエ (Château Olivier) | 赤、白 | ||
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ (Domaine de Chevalier) | 赤、白 | ||
ペサック (Pessac) | オー・ブリオン (Château Haut-Brion) | 赤 | 白ワインの生産量の少なさから、白ワインでの格付けを辞退した。 |
パブ・クレマン (Château Pape Clément) | 赤 | ||
タランス (Talence) | ラ・ミッション・オー・ブリオン (Château La Mission Haut-Brion) | 赤 | ラ・トゥール・オー・ブリオンの畑を併合した。 |
ラ・トゥール・オー・ブリオン (Château la Tour Haut-Brion) | 赤 | 2005年ヴィンテージを最後に生産が中止となり、所有していたブドウ畑は、ラ・ミッション・オー・ブリオンに併合された。 | |
ラヴィユ・オー・ブリオン (Château Laville Haut-Brion) | 白 | 2009年ヴィンテージからラ・ミッション・オー・ブリオン・ブラン(Château La Mission Haut-Brion Blanc)に名称変更された。 | |
マルティヤック (Martillac) | スミス・オー・ラフィット (Château Smith Haut Lafitte) | 赤 | |
ラトゥール・マルティヤック (Château Latour-Martillac) | 赤、白 | ||
カドォジャック (Cadaujac) | ブスコー (Château Bouscaut) | 赤、白 | |
ヴィルナーヴ・ドルノン (Villenave-d’Ornon) | クーアン (Château Couhins) | 白 | |
クーアン・リュルトン (Château Couhins-Lurton) | 白 |
(9)ソーテルヌ バルサック(Sauternes Barsac)地区
・ボルドー南東部、ジロンヌ河左岸に位置する。
・ソーテルヌ地区は、世界有数の甘口白ワインである貴腐ワインの産地である。
・ブドウが熟す秋頃シロン(Ciron)川とガロンヌ河の温度差により霧が発生する。その霧により貴腐菌(ポトリティス菌)がブドウに付着し貴腐化する。
・セミヨンは他の品種より貴腐化しやすいため主にセミヨンが使用されている。
・気候:大西洋に近く温暖、湿度が高い
・土壌:ガロンヌ河左岸は砂利質、ガロンヌ河右岸は粘土質
・生産可能ブドウ品種
白ブドウ:セミヨン(Sémillon)、ソーヴィニヨン(Sauvignon)、ミュスカデル(Muscadelle)
図 11
表 18
エリア | 村名A.O.C. | 村名 | ワイン | 備考 | |
セロン (Cérons) | セロン (Cérons) | セロン (Cérons) | 白(貴腐または遅摘みブドウ) | ||
ソーテルヌ (Sauternes) | ソーテルヌ (Sauternes) | ソーテルヌ(Sauternes) | 白(貴腐) | ||
ボンム (Bommes) | 白(貴腐) | A.O.C.ソーテルヌを名乗ることができる | |||
ファルグ (Fargues) | 白(貴腐) | ||||
プレニャック (Preignac) | 白(貴腐) | ||||
バルサック (Barsac) | 白(貴腐) | A.O.C.ソーテルヌもしくはA.O.C.バルサックを名乗ることができる | |||
バルサック (Barsac) | |||||
ガロンヌ河右岸 | カディヤック (Cadillac) | 白(貴腐または遅摘みブドウ) | |||
ルーピアック (Loupiac) | 白(貴腐または遅摘みブドウ) | ||||
サント・クロワ・デュ・モン (Sainte-Croix-du-Mont) | 白(貴腐または遅摘みブドウ) |
(10)ソーテルヌ バルサック格付け
・1855年メドック地区の格付けとともにソーテルヌ・バルサック地区の格付けが行われた。
・格付けは27シャトーがされている。
・特1級の格付けはディケムの1シャトーのみ
・格付けシャトーのワインはすべて貴腐ワイン
・主要品種はセミヨン
A.特1級 プルミエ・クリュ・シュペリュール(Premier Cru Supérieur)
表 19
村名A.O.C. | 村名 | 名称 | 備考 |
ソーテルヌ(Sauternes) | ソーテルヌ(Sauternes) | ディケム(Château d’Yquem) | 甘口ワインの最高峰と言われている |
B.2級 プルミエ・クリュ(Premier Cru)
表 20
村名A.O.C. | 村名 | 名称 | 備考 |
バルサック (Barsac) | バルサック (Barsac) | クリンマス (Château Climens) | |
クーテ (Château Coutet) | |||
ソーテルヌ (Sauternes) | ボンム (Bommes) | クロ・オー・ペラゲ (Château Clos Haut-Peyraguey) | |
ド・レイヌ・ヴィニョー (Château de Rayne Vigneau) | |||
ラフォリ・ペラゲ (Château Lafaurie-Peyraguey) | |||
ラ・トゥール・ブランシュ (Château La Tour-Blanche) | |||
ラボー・プロミ (Château Rabaud-Promis) | |||
シガラ・ラボー (Château Sigalas-Rabaud) | |||
ファルグ (Fargues) | リューセック (Château Rieussec) | ||
プレニャック (Preignac) | スディロー (Château Suduiraut) | ||
ソーテルヌ(Sauternes) | ギロー (Château Guiraud) |
C.3級 ドゥジェム・クリュ(Deuxième Cru)
表 21
村名A.O.C. | 村名 | 名称 | 備考 |
ソーテルヌ(Sauternes) | ソーテルヌ(Sauternes) | ダルシュ (Château d’Arche) | |
フィロ (Château Filhot) | |||
ラモット (Château Lamothe) | |||
ラモット・ギニャール (Château Lamothe-Guignard) | |||
ファルグ (Fargues) | ロメール (Château Romer) | ||
ロメール・デュ・アヨ (Château Romer-du-Hayot) | |||
プレニャック (Preignac) | ド・マル (Château de Malle) | ||
バルサック (Barsac) | カイユ (Château Caillou) | ||
ド・ミラ (Château de Malle) | |||
ドワジ・デーヌ (Château Doisy-Daëne) | |||
ドワジ・ヴェドリーヌ (Château Doisy-Védrines) | |||
スオ (Château Suau) | |||
バルサック (Barsac) | ブルーステ (Château Broustet) | ||
ドワジ・デュブロカ (Château Doisy-Dubroca) | |||
ネラック (Château Nairac) |
(11)コート地区(Côtes)
・Côtesとはフランス語で「丘」を意味する。
・丘陵地斜面にブドウ畑が広がる
・ジロンド川(Gironde)、ドルドーニュ川(Dordogne)、ガロンヌ河(Garonne)沿いに点在する。
・土壌は粘土質で保水力があるためメルロの栽培に適している。
・2009年旧A.O.C.が連合してA.O.C.コート・ド・ボルドー(Côtes de Bordeaux)を名乗り始めた。
・2016年からサント・フォワ・コート・ド・ボルドー(Sainte-Foy Côtes de Bordeaux)も加盟した
・A.O.C.コート・ド・ボルドーは赤ワインのみ名乗ることができる
・生産可能ブドウ品種
白ブドウ:セミヨン、ソーヴィニヨン、ミュスカデル
黒ブドウ:メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン
図 12
表 22
エリア | 地域A.O.C. | ワイン | 備考 |
ジロンド川右岸 (Gironde) | ブライ・コート・ド・ボルドー (Blaye Côtes de Bordeaux) | 赤、白 | 赤のみコート・ド・ボルドーを名乗ることができる。 |
ブライ (Blaye) | 赤 | ||
コート・ド・ブライ (Côtes de Blaye) | 白 | ||
コート・ド・ブール (Côtes de Bourg) | 赤、白 | ||
ガロンヌ河右岸 (Garonne) | カディヤック・コート・ド・ボルドー (Cadillac Côtes de Bordeaux) | 赤、白 | 赤のみコート・ド・ボルドーを名乗ることができる。 |
プルミエール・コート・ド・ボルドー (Premières Côtes de Bordeaux) | 白 | ||
コート・ド・ボルドー・サン・マケール (Côtes de Bordeaux Saint-Macaire) | 白 | ||
ドルドーニュ川右岸 (Dordogne) | フラン・コート・ド・ボルドー (Francs Côtes de Bordeaux) | 赤、白 | 赤のみコート・ド・ボルドーを名乗ることができる。 |
カスティヨン・コート・ド・ボルドー (Castillon Côtes de Bordeaux) | 赤 | コート・ド・ボルドーを名乗ることができる。 | |
ドルドーニュ川左岸 (Dordogne) | サント・フォワ・コート・ド・ボルドー (Sainte-Foy Côtes de Bordeaux) | 赤、白 | 赤のみコート・ド・ボルドーを名乗ることができる。 2016年から |
(12)フロサンデ地区(Fronsadais)
・ドルドーニュ川右岸(Dordogne)に位置する。
・土壌:粘土石灰質と軟質砂岩(モラス デュ フロンサデ Moulas du Fronsadais)
・生産可能ブドウ品種
黒ブドウ:メルロ
表 23
エリア | 地域A.O.C. | ワイン | 備考 |
ドルドーニュ川右岸 (Dordogne) | フロンサック (Fronsac) | 赤 | |
カノン・フロンサック (Canon Fronsac) | 赤 |
(13)サン・テミリオン地区(Saint-Emilion)、サン・テミリオン衛星地区(Saint-Émilion satellites)
・ドルドーニュ川右岸に位置する。
・1999年サン・テミリオン地区はユネスコ世界遺産に登録されている。
・生産可能ブドウ品種
黒ブドウ:メルロ主体、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン(ブレンドしている)
図 13
表 24
エリア | 地域A.O.C. | ワイン | 備考 |
サン・テミリオン地区 (Saint-Emilion) | サン・テミリオン (Saint-Emilion) | 赤 | |
サン・テミリオン・グラン・クリュ (Saint-Emilion Grand Cru) | 赤 | ||
サン・テミリオン・衛星地区 (Saint-Émilion satellites) | サン・ジョルジュ・サン・テミリオン (Saint-Georges Saint-Emilion) | 赤 | |
モンターニュ・サン・テミリオン (Montagne Saint-Emilion) | 赤 | ||
リュサック・サン・テミリオン (Lussac Saint-Emilion) | 赤 | ||
ピュスイガン・サン・テミリオン (Puisseguin Saint-Emilion) | 赤 |
(14)サン・テミリオン地区格付け
・1955年に第一特別級(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ Premier Grand Cru Classés)A、第一級特別級B、特別級(グラン・クリュ・クラッセ Grand Cru Classés)の3階級に格付けされた。
・格付けは10年に一度見直される。
・2006年の見直しでは公正性を巡って訴訟が起きている。
・最新の格付けは2022年9月8日に発表された。
・オーゾンヌ(Château Ausone)、シュヴァル・ブラン(Château Cheval Blanc)、アンジュリス(Château Angelus)、ラ・ガフリエール(Château La Gaffelière)は格付の基準に観光的要素や広告活動が含まれるということに不満を持ち、格付けの参加を見送った。
表 25
階級 | 名称 | 備考 |
A | パヴィー (Château PAVIE) | |
フィジャック (Château FIGEAC) | ||
B | ボー・セジュール・ベコ (Château Beau-Sejour Becot) | |
ボーセジュール・エリティエ・デュフォー・ラガロス (Château Beausejour Heritiers Duffau Lagarrosse ) | ||
シャトー・ベルエール・モナンジュ (Château Belair Monange) | ||
カノン (Château Canon) | ||
カノン・ラ・ギャフリエール (Château Canon La Gaffeliere) | ||
ラルシ・デュカス (Château Larcis Ducasse) | ||
シャトー・パヴィ・マキャン (Château Pavie Macquin) | ||
トロプロン・モンド (Château Troplong Mondot ) | ||
トロッテヴィエイユ (Château Trottevieille) | ||
ヴァランドロー (Château Valandraud) | ||
クロ・フルテ (Clos Fourtet ) | Châteauは付かない | |
ラ・モンドット (La Mondotte) | Châteauは付かない |
(15)ポムロール地区(Pomerol)
・サン・テミリオン地区の北西に隣接するワイン産地
・バルバンヌ川(Barbanne)の南側がポムロール、北側がラランド・ド・ポムロール(Lalande-de-Pomerol)
・小規模シャトーが多いのが特徴
・土壌:シャトー・ペトリュス(Château Pétrus)が位置する小高い丘は粘土質土壌、それ以外の畑は小石に覆われている。
・主要品種
黒ブドウ:メルロ主体、カベルネ・フラン
表 26
エリア | 地域A.O.C. | ワイン | 備考 |
ドルドーニュ川右岸 (Dordogne) | ポムロール (Pomerol) | 赤 | バルバンヌ川(Barbanne)南側 |
ラランド・ド・ポムロール (Lalande-de-Pomerol) | 赤 | バルバンヌ川(Barbanne)北側 |
(16)アントル・ドゥ・メール地区(Entre-Deux-Mers)
・Entre-Deux-Mersは、フランス語で、ふたつの海の間という意味
・ドルドーニュ川(Dordogne)、ガロンヌ河(Garonne)の間の広大な地区
・辛口白ワインとして有名
・赤ワインはA.O.Cボルドーに格下げされるが赤ワインも多く造られる
・土壌:多様な土壌構成
・主要ブドウ品種
白ブドウ:ソーヴィニヨン(Sauvignon)、セミヨン(Sémillon)
黒ブドウ:メルロ(Merlot)、カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)
図 14
エリア | 地域A.O.C. | ワイン |
アントル・ドゥ・メール (Entre-Deux-Mers) | アントル・ドゥ・メール (Entre-Deux-Mers) | 白 |
アントル・ドゥ・メール・オー・ブノージュ (Entre-Deux-Mers Haut-Benauge) | 白 | |
ボルドー・オーブノージュ (Bordeaux Haut-Benauge) | 白 | |
ドルドーニュ川日左岸 (Dordogne) | グラーヴ・ド・ヴェール (Graves-de Vayres) | 赤、白(甘〜辛) |